《MUMEI》

「はるか君はどうして…私なんか…選んだの?」
「えっ///」


俯いていた彼女が急にそう聞いてきた。


彼女をよく見てみると耳まで真っ赤で、前に伸ばした足が地面の砂にモジモジしていた跡を付けていた。

「か…可愛いから…///」

この恥ずかしがり方といい、背の低さといい、白い太ももといい…。

今の俺にそれを言い表せと言っても”可愛い”以外には思いつかなかった。


「そんな…私って美人でもないし…背も低いし足も長くないし…それに…」
「……そんな」
「太ってるから///」
「そんなの…関係無いよ///」


いや、大いに関係あるかもしれない…。


彼女を初めて見たのは、彼女の白くて柔らかそうでムッチリした太ももだった。

それから視線を上にずらしていくと、ポッテリしたお尻、指先まで柔らかそうな手…。

そして、大きな……胸。


そして…俺の好みど真ん中の、柔らかそうな頬をした今にも泣きそうな可愛い顔が俺の事を見つめていたのだ。



「そんなの…太ってるとか……可愛いからいいじゃないか…俺は……お前が好きだ」

初めて見た時に”可愛い”と思ったけど、彼女に冷たく当たってしまったのは、これまでの俺が素直に自分の気持ちを伝えられなかったから。

「はるか君…///」

でも今度は、はっきりとその気持ちを彼女に伝えられたと思う。

「私なんか…はるか君に似合わないと思って…」

そう言うと彼女は下を向いて泣き出してしまった。

「えっ…ぁ…///」

そうなると男の俺はただオロオロするしかなくて、彼女にハンカチを差し出すので精一杯だった。

「ありがとう……はるか君にそう言ってもらえて…正直…嬉しいの///」

ハンカチで目の辺りを拭っていた彼女の肩に手を廻すと、その可愛らしい頭を抱き寄せてその柔らかな頬にキスをした。

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