《MUMEI》
決心
翌日、俺はいつもより早く目が覚めた。目覚めはすっきりしていて、椋の家に薔薇が置かれてから、初めて"よく寝た!"と思えるような朝だった。

隣では、俺に背を向けて椋がまだ寝ている。きっと、椋も久々にぐっすり眠っているんだろう。俺は、椋を起こさないようにこっそり部屋を抜け出し、学校へ行く支度を始めた。

しかし、いつまでたっても椋は起きてこない。

…ったく、またか。
椋は、やたら朝に弱い。今までも、自分で起きたためしがないのだ。そろそろ起きないと、学校に遅刻っていうのに。


はぁ、仕方ねぇ。起こしに行くか。
俺は再び2階へと上がり、椋の部屋に入った。椋は、相変わらずこちらに背を向けて寝ている。



「おい、朝だぞ。起きろ」




声を掛けても、反応無し。
ったく、寝起き悪すぎ。



「椋、起きろよ!早く起きねぇと置いてく………椋?」




俺はふとあるものに気付き、揺さぶっていた手を止めた。今まで気付かなかったが、椋の首には細く、何かが巻き付いたような痣があった。え、そんな…。まさか…



「…椋?おい、椋!!起きろよ!なぁ!椋!!」



体を強く揺すっても起きない椋の顔を恐る恐る覗き込むと…









「ひっ………!り……椋!!」











何かに怯えてたように
目を見開いた椋の顔がそこにはあった。


顔は青ざめ、体はすでに冷たくなっている。
確認するまでもない。





椋は、死んでいた……







何で…?俺、昨日も隣で寝てたよな?何で気付いてやれなかった?


椋の見開いた目を閉じながら、俺は涙を零した。




「椋っ……何でだよぉぉぉぉ!!」




いくら泣き叫ぼうが、椋はもう生き返りはしなかった。俺の声を聞いて椋のお母さんが部屋に入ってきた。響く甲高い悲鳴。下に戻っていくドタバタという足音。何やら話している声。
そして、近付いてくるサイレンの音…。

そんな機械的にしか聞こえない音が鳴り響く中、俺は考えていた。
二人は…、智と椋は誰かに殺されたんだと。


俺は、椋が残してくれたただ一つの手掛かりを誰にも見つからないようにしまいながら、決心をした。


なにがなんでも、二人の命を奪った奴を捜し出してやる、と。

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