《MUMEI》 「・・・。」 私は無言で抵抗した。 「学校だってね。優秀な生徒には、それなりの高校に入ってもらいたいのよ。」追い討ちをかけるように、笠原先生は話を続ける。 私は名波先生をチラリと見た。先生は、ただ私の希望調査表を黙って見ているだけだった。 「他に何か理由があるのか?K女を志望する・・・」 名波先生は目線をこちらに向け、そう尋ねた。 「女子校育ちなので、男子が苦手で・・・。だから女子校を志望しま・・。」 私が話し終わる前に、笠原先生は重ねて話し始める。 「それなら余計に、共学に行くべきよ。若いんだから青春を謳歌しなさいよ。ねぇー。名波先生。」 「・・・そうだな。」 私は黙ったまま、じっと名波先生を見つめた。 あの日の先生とは裏腹に、私に共学行きを進めた・・・たった一つの宝物が、他の男にとられてもいいってこと・・・? 気が替わったのかもしれない・・・。いくら唯一触れる女の子でも、好きじゃないなら、どうでもいいって・・・。 「少し考えさせてください・・・。」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |