《MUMEI》

「・・・。」
私は無言で抵抗した。

「学校だってね。優秀な生徒には、それなりの高校に入ってもらいたいのよ。」追い討ちをかけるように、笠原先生は話を続ける。


私は名波先生をチラリと見た。先生は、ただ私の希望調査表を黙って見ているだけだった。

「他に何か理由があるのか?K女を志望する・・・」
名波先生は目線をこちらに向け、そう尋ねた。


「女子校育ちなので、男子が苦手で・・・。だから女子校を志望しま・・。」
私が話し終わる前に、笠原先生は重ねて話し始める。

「それなら余計に、共学に行くべきよ。若いんだから青春を謳歌しなさいよ。ねぇー。名波先生。」


「・・・そうだな。」


私は黙ったまま、じっと名波先生を見つめた。

あの日の先生とは裏腹に、私に共学行きを進めた・・・たった一つの宝物が、他の男にとられてもいいってこと・・・?

気が替わったのかもしれない・・・。いくら唯一触れる女の子でも、好きじゃないなら、どうでもいいって・・・。

「少し考えさせてください・・・。」

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