《MUMEI》
エイミーの行方・忍に絡む二人
「そのエイミーは?」


頼の隣には、一緒にここに来たはずのエイミーがいなかった。


「クラスの当番に行った」

「何やってんだ?」

「バザーらしいよ。売り子だって」

「…普通だな」

「今なら暇な時間帯だし、ナンパされないだろうけど…一応何かあったらメールが来る。

じゃあ、また後で」

「あぁ」


忍程ではないが、頼も人気があった。


(そうだ、祐と葛西先輩は…)


「なあなあ、衣装、手作り?」

「オーダーメード」

「スッゲー、いくらしたんだ!?」


(何してんだあいつ!?)


祐は忍の執事服を引っ張っていた。


「でも本当に似合ってますね〜」


「ちょ、」


志貴まで忍に絡みだしたので、俺は慌てた。


「失礼だぞ、二人共」


俺より先に葛西先輩が注意してくれたが


「「犬耳で言われても」」

「う…」


普段なら威厳ある葛西先輩は、確かに犬耳のせいで迫力に欠けた。


それでも犬耳をはずさない真面目で律義な葛西先輩に同情しつつ、俺は再び口を開いたが


「この服装についてはちゃんと説明します。過去にこだわらない男と、その恋人以外に」


黒い笑顔の忍がそれを遮った。

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