《MUMEI》

雹里は桶に水を入れ、かごの中にタオル、鉄分が多く入っている果物を入れて慎重に歩いていた。


この雹里が持っている一式は、たまたま会った料理係の人たちが用意してくれた。


「あっ陛下!」


突然後ろから呼ばれ、振り返るとそこには1人の兵士が立っていた。


「どうしたの?」


「ルイス閣下がお探ししていました、ティイオラ閣下が陛下をお呼びに行ったはずなのですが、なかなかおいでにならないということで」


「あ…今ねティイオラが鼻血を出しちゃって手当てをしているの」

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