《MUMEI》

「──アイツの好きなもん?」

「ぁ‥ハイ、その‥‥‥知ってたら‥教えてくれませんか‥?」





天城君に訊くつもりが‥梶野先輩になっちゃったのは‥。





何か切り出すタイミングが掴めなかったから‥。





「んー‥アイツ好き嫌いとかねーからなぁ」

「ぇ」

「基本的に何でも食うぜ? アイツは」

「はぁ‥」





何でも、ってなると‥余計に何作ればいいか分かんないなぁ‥。





「──ぁ」

「何だ?」

「えっと‥この前のメモって‥先輩が書いたんですか?」

「書いたのは倉藪さん。『もしお坊ちゃまがお付き合いするような事があったら、これを彼女さんに渡して下さい』って頼まれてさ」

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