《MUMEI》
最終目的地へ移動
「それって俺と…」

「そろそろ次行くぞ祐!」


(ここでカミングアウトは葛西先輩が可哀想過ぎる)


俺は慌てて祐を引っ張った。


「どちらに行かれるんですか?」


(俺にまで黒い笑顔向けんな!)


「…っ、園芸部の、庭園です」


それは、散歩コースの最終目的地だった。


「では、お供致します。もう用事は済みましたし」

「そーなんだ〜、じゃあ、出発しようぜ、祐也」


(祐、…ある意味すごいな)


祐は不機嫌オーラ全開の忍を全く気にしていなかった。


「とりあえず…行こうか」

「あ、はい」


控え目に口を開いた葛西先輩は、一番空気を読んでいたから


思いきり苦笑していた。


「私はまだいるし、あの子達庭園興味無いから、この後他の場所行くからね」


志貴は自分が案内していた猫耳の団体を指差し、説明した。


(まぁ、地味だしな)


鏡月が愛して止まない庭園は、確かに美しかったが派手さはなく、『せめてベンチを置けばいいのに』と言う緑川の意見も無視され


本当に、いつもと変わらない空間だった。


そして、俺と祐と葛西先輩と忍は、今その空間を独占していた。

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