《MUMEI》

「おい。
準備できたか?」


「とっくに。」


「そろそろ試合だから行くぞ。」


「は〜い。」


クロたちは、


試合の為体育館へ向かう。


大きな体育館での試合ということもあり、


試合前のチームには控え室が用意されていた。


右手の指に巻かれたテーピングと両面テープ。


ようやく慣れはじめたスタビル。


防汗グッズであるにも関わらず汗の拭かれることのないリストバンド。


それ以上クロに必要な物はなかった。











ぎぃ…










ゆっくりと体育館への扉が開かれる…












「きたぁ〜!!」


「クロ〜!!」


「クロさ〜ん!!」


「クロ〜!!」












海南クラブを待っていたのは、


超満員の観客。


たかが社会人リーグの試合とは思えない程の盛り上がりを見せていた。










「お〜すげぇ。」


「高総体を思い出すね。」


「なんでこんなに…」


冷静なクロとは対象的に、


不和は会場の様子に圧倒される。


「ちょっと宣伝させていただきました〜。」


「宣伝?」


「応援に来てって。
友達皆に。」


「こんなに…?」


「まさか。
あとはちょっと自分の彼女にお願いして…」





















『市民体優勝チーム海南クラブ!!
今度の社会人リーグで凄いことが起こるので皆さん見に来てください!!』




















「凄い…ですね。」


「でしょ〜?
理紗ちゃん。
あたしのサイトの影響力は凄いのよ。」




















「さって…。」


まだアップの始まらないコート。


そのコートの中心に、


クロは歩き始めた。

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