《MUMEI》

「あかんなぁ、ボクすっかり忘れてもうてたわ──。気ぃつけなあかんのになぁ」

「‥‥‥えっと‥、ゎ」





ちょっ‥また‥?





最近、抱き付かれてばっかりだ。





遊園地の時もそうだったし‥。





しかも天城君、いっぺん抱き付いたら暫く離れない。





「ねぇ、何で‥」

「だって‥離したら飛んでってまいそうなんやもん、ツバメちゃん」

「‥‥‥?」





離したら‥飛んでっちゃいそう‥?





「せやから‥」

「しないよ?」

「ん‥」

「飛んでったりなんかしないよ、私──」

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