《MUMEI》
思い出と違う場所
「この学校に庭園なんかあったかと思ったけど…

あったんだな」


しみじみと葛西先輩が言うと


「なぁー。俺達いた時は普通の花壇とビニールハウスだったのに」


祐も頷きながら、周りを改めて見渡した。


俺が一年で、祐が二年の時に入って話をしたビニールハウスは、今は夏だから、存在しなかった。


(まぁ、寒くなっても鏡月が管理するから、いつもみたいに料理部に貸す事は無いだろうけど)


そして、校内で一番広い花壇には


かなり本格的な英国風庭園の、凝縮版が広がっていた。


「確認したいんですが、あなたは祐也の過去を聞かないんですよね?」


庭園にみとれる二人とは違い、忍はすぐに質問した。


(まぁ、忍は春日家の庭園に慣れてるし)


「そうだよ。過去には興味は無い。
だけど、今の忍さんの格好はかなり気になる」


祐は忍に笑顔を向けた。


(祐は忍に慣れてないはずだけど)


その余裕が、羨ましいと思った。


「だから、執事の格好してる理由を知りたい」

「こうなった祐はしつこいですよ」


そう言った葛西先輩は、祐に味方している


というより、忍に同情しているようだった

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