《MUMEI》

「アイスクリームこぼれそうだよ」


「うおお!」
下からズルズル音を立ててアイスクリームをすすった。


「木下君って以外とぬけてるな。」
早紀さんはウェットティッシュを一枚くれた。

……恥ずかしながら。
抜けているかもしれません。しっかりしたフリしています。


「口の端に付いてる」
早紀さんはそう言いながら口を拭ってくれた。
少し近付いてどきどきした。いいにおいだった。



すいません。
ときめいちゃいました。
「しっかりするのは好きなんですけどね……」
話変えよう。


「わかるよー。そういう人」どういう人?
でも分かってくれてそう。早紀さんの真っ直ぐ空に向かって吹いた煙がそう語っている。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫