《MUMEI》 そのまま、私は先生に肩を貸しベットまでなんとかたどり着いた。 「ごめんな・・・。」 先生は小さな声で呟いた。 何に対する謝罪なんだろう・・・。笠原先生との関係のこと?押し倒してしまったこと?それとも・・・症状がでてしまったこと? 「おまえに触れたいという、自分の欲求が押さえられない。・・・人として最低だな。俺・・・。」 先生は少しだけ涙を浮かべたような、気がした。 すぐに目を伏せる。 先生の心の闇は、もっと深いところにあって、私たちには、到底分かり得ないのだろう・・・。 「やっぱり先生にはリハビリが必要ですね・・・。」 ポツリとつぶやく。 先生は、何も答えなかった。 「すごい心配してたんだよ。おばあちゃん。奏がいなくなったって。」 「うん。ごめん。」 昼休み。私たちは校庭の隅にあるベンチに腰掛けていた。そこがいつもの定位置だった。 昨日・・・あまりにも帰りが遅いため、おばあちゃんが心配し、百花の家に連絡をいれてしまったらしい。 その後すぐに帰ったから、大事にはならなかったが、めずらしく、おばあちゃんに怒られたので、私も反省していた。 「どこいってたの?」 光は疑う様子もなく、聞いてきた。もう・・・隠すのは限界かもしれない。 前へ |
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