《MUMEI》

ティイオラは膝をつけている雹里に手を伸ばすとそのまま自分の方へと抱き寄せた。


小さな雹里はすっぽり入ってしまった。


「ティイオラ?」


雹里は特に驚きもせず、どうしたの?という感じに呼んだ。


「あなた様は優しすぎます。王には相応しくないのかもしれませんね」


ぎゅっと強く抱きしめると、ティイオラは手を放した。


雹里はティイオラの胸に手を置き、顔を上げてティイオラの顔を見ると優しく微笑んでいた。

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