《MUMEI》

「──眠れへん?」

「‥うん‥」

「ほな──話聞いてくれる?」

「話‥? うん、いいよ」





話聞くの、好きだし。





「ボク、ほんまの自分て何やろなぁ──て考えたりするんやけどな? よう分からんのや」

「ほんとの、って‥?」

「ほら、ボクて気紛れやん? 『天使』やったり『小悪魔』やったり」

「うん、でも私は──」

「?」

「だからいいんじゃないかな、って」

「そうなん‥?」

「うん。それに、どっちもほんとなんだよ」

「どっちも‥‥‥?」




キョトン、って感じの声。





「それて変やない‥?」

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