《MUMEI》

「ただいま…」
「いらっしゃいませぇ///」
「…それでいいや」

食材を買いにマーケットへ行ってレシピブックもあったので、辞書を見ながらそれを読んでさくらが気に入るように一生懸命日本の食事を作ってみた。

「コレ、似ているモノ、ドイチュランドもありまするです」
「ん…肉じゃがか?」

ページをパラパラと捲ってみると、ドイツにもあるような料理を見つけたんでそれっぽいものを作ってみたんだけど…。

さくらは眉間に皺を寄せながら首を傾けていた。


「ん…何でベーコンなんだ…ドンッベーコン、シュアリィズノンソルトポーク」
「オー…」

どうやら日本の”ジャーマンポテト”はベーコンじゃなくって塩漬けじゃない普通の豚肉を使うそうだ。

「まぁコレもいいや、イッツォーケイ」
「オーケイ?…エヒトゥ…ぁ…マジでぇ///」
「ドコで覚えたんだよ…」

マーケットに居た若い女の子達が僕を指さして驚きながら使ってた言葉で、本当に?って意味だと思うんだけど。

「パツキン、ガイジン、マジ〜♪」
「…お前なぁ」

さくらにその意味を教えてもらい女の子達は僕の髪の事を言ってたんだと納得すると、出来た食事をデスクの方に運んでいった。


「それにしてもだなぁ…お前ベッドで食べるのかよ」
「ん、さくらはどうぞ座ってよソコにです♪」

ベッドを入れたら部屋がかなり狭くなって、食事する場所が無くなってしまったので、デスクをテーブルにさくらはデスクチェアに座ってもらって、僕はベッドの方に座っていた。

「そう、オモロいしですね」
「ホントに面白いですね、って言いたいのか?」
「ホント…に、おもしろですねん///」
「何で大阪弁なんだよ…」

そう言いながらさくらが笑っていた。

さくらが笑顔なら僕はそれで満足。

さくらは僕の”にくじゃが”のように作ったものを美味しそうに食べてくれた。

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