《MUMEI》 過去になる存在忍はゆっくり、かなり深いため息をついた。 そして、変わらぬ穏やかな声色で 「一度しか言わねーからよく聞いて下さいね、クソガキ」 (…ん?) 一部、口調を変えた。 「「あれ? 今…」」 「俺は祐也にとって過去の人間になる。 祐也の未来に お前の下で働く祐也の側に 俺は、いない」 「それ、どういう…」 「話は以上です。これ以上余計な事は訊くな。 …俺を怒らせんな、クソガキ わかりましたね?」 「いや、…」 「わかったよな?」 「…ハイ」 「祐が口で負けたの初めて見た」 (キレた忍は無敵だしな) 巻き込まれたくない俺は、無言を貫いていた。 …のに。 「なぁ、祐也!忍さんが言った意味全然わかんないんだけど! 二人は付き合ってんだろ? だって忍さん祐也にメロメロじゃん!」 (バカ) 祐の叫びに、俺はうつ向き、その場を去ろうとした忍は足を止めた。 「俺が、祐也にメロメロ、ねぇ…」 何の冗談だというように、馬鹿にしたような笑みを浮かべた忍は、今度こそ、その後祐が何を言っても一切無視してその場を去っていった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |