《MUMEI》
合図
ユウゴは右手に持った銃を収めた。
「なんだよ?その銃、使わねえのか?」
「ああ」
油断なくユウゴは頷く。
「へえ。素手で勝負か?俺はこれを手放す気はないけどな」
「ああ、そうか、よ!」
 ユウゴは足元に散乱した缶詰を由井に向かって蹴り飛ばした。

由井は反射的にショットガンを缶詰に向けて、撃った。

再び、轟音が倉庫内に響く。

 それを合図にしたかのように、ユウゴとユキナが動き出す。

 ユウゴは姿勢を低くくし、全体重をかけて頭から由井に体当たりした。
「……っは!」
見事にみぞおちに入ったらしく、由井は腹を押さえてうずくまった。

その隙を見逃さず、由井が握るショットガンを蹴り上げる。

ショットガンが宙を舞った。

「っの野郎!ミサ!なんか寄越せ」
由井が振り向いた先にいるミサはそれどころではないようだ。


 ユキナはショットガンの轟音に気を取られたミサに向かってエアガンを撃ち込んだ。
「痛っ!」
怯むミサに向かってさらに撃ち込みながら、ユキナは彼女の持つボストンバッグを掴む。
「何を!」
抵抗するミサに、至近距離からエアガンを撃ち込み、なんとかユキナは鞄を奪い取った。

「悪いけど、こっちも命懸けなの」
ユキナはそう言うと、エアガンを投げ捨てて素早くスタンガンを取り出し、彼女の体にあてた。

ミサは一瞬体を痙攣させたかと思うと、気を失った。

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