《MUMEI》 「七生君はもう北条の家が面倒見るから平気よ。出来れば、七生君には後腐れなく外国に行ってほしいから、一般層の子は七生君に近付かないでね。」 鮎子さんに釘を刺された。 七生が外国に行くのに、俺は邪魔なんだ………。 いい機会じゃ無いか、七生とどんな顔して会えばいいのかなんて考えなくて済む。 「貴方って、七生君がいないと駄目なのね。」 ……言い返せない。 「泣かせるつもりじゃなかったの。七生君の件はよく考えて、最善の方法を決断して下さい。」 黙り込んだまま、鮎子さんの後ろ姿を見送った。 不覚にも、ちょっと、泣きそうになった。 ずばずば言われるとやっぱり傷付く……。 七生が遠い。 昔は生活の一部みたいだったのにな。 七生を好きになってから、七生との距離が苦しい。 友達に戻ったら、 前みたいにまた、 笑い合えるかな。 前へ |次へ |
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