《MUMEI》
愛は会社を救う(100)
知子は言葉を選びながら語り始めた。
「実は先週の金曜に、藍沢と私、山下さんのマンションに呼ばれたの」
知子がその現場に居合わせたのは、私にとってまったく想定外の事だった。
「そこで彼女、私が赤居さんと寝たことを、藍沢の前で私に問い質したわ…」
「なぜそこで?」
私には仁美の意図がわからなかった。
「山下さんは藍沢が、赤居さんと交際してるって思ってたから。嫉妬させるつもりだったんじゃないかしら。あなたは赤居さんに裏切られた、遊ばれただけだって」
私はオールド・ファッションドのグラスに口を付けながら、自虐気味に笑った。
「で、藍沢さんの反応は?」
「落ち着いてた。なんか職場で見るより、ぐっと大人びて見えたわ」
そう言って知子は、何かを勘繰るような瞳で、ちらちらと私の顔を見た。

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