《MUMEI》
校門前に集合
忍が俺の過去を話す場所は、俺の部屋


では狭すぎるから


忍が泊まっている駅前のビジネスホテルにある会議室にすると、事前に忍から連絡があった。


ちなみにそこは志穂さんが結婚前にリゾートホテルと掛け持ちしながら働いていた場所で、プライバシーは完璧に守ってくれるらしい。


『駅前だから、わかるよな』


俺はそう言って最初現地集合を提案したが


『『わからない』』


普段滅多に駅前に行かない厳と頼がきっぱり言ったから


結局、全員で校門前に集合して、目的地に向かう事になった。


「先に行っても良かったのに」


俺と志貴が来た時


既に希先輩と柊が


おそらく、だいぶ前から立っていた。


「先に着いても緊張するし」

「それに、祐也と一緒に歩く機会滅多に無いし」


(なるほど)


二人の答えに納得していると


「お待たせ」


頼が時間通りに


「ごめん! 顔のメイク落とすの手間取った!」


厳が、五分遅れに現れた。


「じゃあ、行くか」


そう言った俺は


普段と違って、俺達に対する視線や歓声が不思議と気にならず


忍が話す内容ばかりが気になっていた。

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