《MUMEI》
愛は会社を救う(104)
「私、裸で床に正座させられて、その一部始終を見せ付けられたのよ。山下さんにしてみたら、私が赤居さんと関係を持ったことへの、戒めのつもりだったんでしょうけどね」
私は思わず、知子の顔をあらためて見直してしまった。
目の前にいるのは、―失礼な言い方だが―どこにでもいる、ごく平凡なOLだった。
そんな彼女が、そこまで異常なシチュエーションに身を置いていたとは…。
一方、知子は、ただ可笑しそうにクスクスと笑っている。
「でも不思議な光景だったわね。あの気位の高い山下さんが、20才以上も年下の藍沢に、ただもう、されるがままになって…」
「されるがまま…ですか?」
精神的に少し余裕ができた私は、わざと興味津々を装って訊いてみた。

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