《MUMEI》

「ぁ…前にも…」
「日本でアキラにプレゼントしたのは少々煌びやか過ぎたからな、コレなら普段でも身につけられるだろう」

以前、日本に居る時にプレゼントされた指輪は今でも大切に持っているけど、キラキラしていて確かに普段付けられるようなものでは無かったから…。


何の飾りも無く、でも克哉さんがプレゼントしてくれたというだけでも光り輝いて見えるその指輪を、克哉さんは僕の左手の薬指に填めてくれた。

「コレで、売約済みだ」
「克哉さん///」

一緒に左手同士を握り合うと、克哉さんの左手薬指にも同じような指輪がしてあった。

「私も、アキラのものだ」
「えぇ…嬉しいです///」

胸の前で克哉さんの腕をギュッと抱きしめ、その指にいっぱいキスをした。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

翌日、重い腰を引きづりながら自分の部屋に行くと、引き出しの中の小物入れに大切に入れてあった指輪を重ねて自分の指に填めて、一人でニヤニヤしていた。

(克哉さんのものなんだな…僕って…)

でもコレって…婚約指輪なのかな。

今は結婚しているような生活だけど、正式にはまだなんだよね…。

男同士で結婚なんか出来るのかな…克哉さんはこの国では出来るって言ってるけど。

ビザからパスポートから、ほとんど克哉さんに手伝ってもらってる…。

僕も何も出来ない子供じゃないんだから、頑張らないと。




くるみちゃんを幼稚園に送っていってハイタッチでバイバイすると、早速くるみちゃんは仲良くなったミニョンちゃんの元に駆け寄って行ってしまった。

二人はさっそく手を繋ぐと、チョコチョコと走って園庭にあったジャングルジムで遊び始めていた。

ちょっとだけ寂しい気もしたけど、遅かれ早かれいずれはこうなるんだと自分に言い聞かせて、くるみちゃんに可愛いお友達が出来た事を素直に喜んだ。

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