《MUMEI》
愛は会社を救う(107)
「ねえ、これだけ教えて。どうして藍沢が、女性を好きだってことがわかったの。だって一度は男性のあなたと、そういう関係になったんでしょう?」
知子の好奇心は、もはや抑えようがなかった。
彼女は、私と由香里との関係を知りたくて仕方がないようであった。
言ってみれば知子は、企ての功労者でもある。
私は、彼女の好奇心に応えてやるのもよいと思った。
「私に近付いた動機が、あなたと同じだったからですよ」
実は私の方も、知子の内面の機微が手に取るようにわかっていた。
「私と同じ動機?」
驚いた様子で、知子が訊き返す。

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