《MUMEI》 愛は会社を救う(109)由香里としては、男の私を誘っておいて騙したという、贖罪の気持ちがあったのであろう。 「そうだったの…」 「だから」 散々もったいぶってから、私はようやく知子が聴きたい核心部分を口にした。 「厳密に言うと、私と藍沢さんとは男女の関係に至っていないんですよ。私とあなたがそうであるようにね」 知子はグラスを手に持ったまま、吐息と共に沈黙した。 「おっと。こんな話をするなんて、私も趣味が悪いですね」 そう言って笑って見せると、つられたように知子も、妖しく口元を緩めた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |