《MUMEI》
愛は会社を救う(122)
私はそれには何も応えず、肩を少しだけすくめて見せた。
「今回の事、オーナーへは何てリポートしたらいいのかしら。あなたとあの3人との関係、とても詳しくなんて書けないわ」
「それがキミの仕事だろ。プロフェッショナルなら、その辺はよろしくやっといてくれ」
Kは黙ったまま、少し首を傾げてこちらを見詰めている。
私は無関心を装いつつも、久しぶりにKの顔を間近に眺めた。
すっと通った鼻筋。形の整った理知的な唇。
抑えた感情の奥で、強靭な意志の存在を主張している両つの瞳。
均整のとれた美しい眉は、少し由香里と重なる部分があった。
(お父さんに似てきたかな)
私はいつの間にか亡き旧友を思い、深い感慨に浸っていた。

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