《MUMEI》 エピローグ(1)城下町支店の任務から、どれくらいの歳月が過ぎただろうか。 私は相変わらず、新たな勤務地のマンスリーマンションで孤独な格闘を続けていた。 ある朝、ロビーで何気なく新聞の経済面を開いた私は、そこに、企業人事に関する小さな記事を見つけた。 「丸兼物産・新社長に兼松羊市郎氏/経営権、再び創業家一族へ」 (へえ、あの時の丸亀さんが…) 同じ空の下で活躍する元クライアントの近況に、私の口元は自然とほころんでいた。 さらにその記事には、短くこんな情報が添えられていた。 前へ |次へ |
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