《MUMEI》 . しばらく3人とも黙り込んでいると、 急に、その女の子が言った。 「………そこ、どいて貰えますか?」 フツーの言い方だったから、俺とアイコは「ハイ…」と返事をして、素直に従う。 彼女は俺たちをすり抜けると、奥にある本棚に抱えていた本を戻した。 ひとつひとつタイトルを確認しながら、きれいに本を整理して、彼女はクルリと振り返る。 また、あの目。 なんの関心も抱いていない、その目で、一瞬だけ俺たちを見つめた。 それから、スタスタとまた俺らの脇を歩きながら、 はっきり、言った。 「ここは、図書室です」 ………。 ハイ、知ってますけど。 俺とアイコは顔を見合わせる。 そんな俺らに、彼女はつづけた。 「そーいうことは、ホテルでどうぞ」 …………ああ、そういうことね。 . 前へ |次へ |
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