《MUMEI》

『ねぇ、おにーちゃん』

『晃でいーけど?』

『じゃあ、こーちゃん』

『こーちゃん‥‥‥?』

『──うん』

『何か──微妙じゃね? つーか俺、男だし‥』

『こーちゃんがいい』





私は、何故かそう呼びたかった。





何だか、たぶん‥その方が身近な感じがしたから。





『だめ‥?』

『う〜〜〜ん‥』





『鈴原 晃』は、暫く唸って── それから、頷いてくれた。





『お前だけ特別だからな?』

『──みつか、だけ?』





キョトンとして訊き返したら、こーちゃんは笑って私の頭をクシャクシャ撫でた。





『こーちゃんでも何でも好きに呼びな。妹なんだから』

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