《MUMEI》

「──ただいま──」

「おっ、みかん──ちょっとこっち来てみろよ」

「‥ぇ、こーちゃん‥」





私は、こーちゃんに引っ張られてアパートの裏に回った。





「こーちゃん‥? 何か──」

「これこれっ」

「‥?」





こーちゃんが指差した方を、見る。





「これ──‥」

「なっ? いいだろこれっ♪」





燥ぐこーちゃんの側には、白い花。





たぶん、他の人が見ても‥これは特別な花でも何でもない、ただの雑草。





けど、こーちゃんにとっては凄く──特別なものなんだ。

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