《MUMEI》

「なぁ、みかん──ちょっとそこしゃがんでみろよ」

「ぇ」





いきなり言われて、戸惑った。





こーちゃんは、この花の隣りにしゃがんでみろ──そう私に合図したんだ。





どうすればいいのか分からなくて、花とこーちゃんを交互に見つめていたら。





「っと──こんな感じでさ」





こーちゃんが、花の隣りにしゃがんでみせる。





私は、それを見よう見まねで再現する。





「これで‥いい‥?」

「おう、完璧完璧♪」





すかさず、こーちゃんがカメラを構えた。




──そして。





一瞬──私の目の前がチカッと光る。





「よしっ、撮れた撮れた──」





私の視線の先には、満足げに笑うこーちゃんがいた。

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