《MUMEI》

「私‥‥‥?」





思わず、口に運びかけていたスプーンを止めた。





こーちゃんが、私を見ている。





──青みがかった目で。





その瞳に、私は吸い込まれそうな感じがしていた。





「みかん?」





その声で、ハッと我に返る。





「──ごめんっ、こーちゃん‥」

「ん‥?」





こーちゃんが、キョトンとした。





「何で謝んだ?」

「ぇ、何か‥ボーッしちゃって──‥、?」

「ま、無理して言うこたねーけどさ、独りでは抱え込むなよな」

「──うん‥」





‥胸が、締め付けられる。





私、こーちゃんに嘘ついた‥。

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