《MUMEI》

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テキトーな大介に呆れて、ため息をついた、


そのとき。


目の前を、通ったひとにくぎづけになる。


サラサラと肩まで伸ばした黒髪。

きちんと着こなした制服。

そして、あの無関心な瞳。





…………図書室の子。





彼女は窓際にいる俺たちに気づかず、俺たちのまえを通り過ぎると、そのまま行ってしまう。


「………なぁ」


俺が隣の大介に声をかけると、彼は面倒くさそうに振り返った。

気にせず、俺は離れていく彼女を指差す。


「あの女の子……」


そこまで言うと、大介は「あー」と曖昧に頷いた。


「2組の天草さんだろ?」





…………『アマクサ』?


2組っつーと、隣のクラスか。





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