《MUMEI》 . 俺はまだビックリしている天草に、言った。 「なにしてんの?」 不躾な質問に天草は眉をひそめる。 「………なにって、見ての通りですけど」 小さな声で答えた。 素っ気ない言い方だった。 俺は天草を半眼で睨みながら、ふぅ〜ん…と唸る。 「天草さん、図書委員なの?」 俺の質問に、彼女はまた眉をひそめた。 「なんで、わたしの名前……」 「だれか本借りに来た?」 彼女が言いかけたのを、すかさず遮る。どうやって名前を知ったのか、説明するのが面倒だった。 天草は納得しないような顔をしたが、「だれも来ないよ」と質問に答えてくれた。 俺は、やっぱりね、と呟いてカウンターの上に自分のバッグをドサリと置く。 「巷じゃこの学校の生徒は、読み書きが出来ないって有名だからな」 「………そんな話、初めて聞きましたけど」 小声で言い返してくる。 . 前へ |次へ |
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