《MUMEI》
大人一枚
「二郎君……七生って、今までどんな子と付き合っていたの?」

修平さんと二人で何故か、某ホテルの最上階のディナーを戴いている。


「年上、です。自分より10とか上の人とかと付き合っていました。」

七生の情報収集なのだろうか。
学生服での食事は浮きまくりで、恥ずかしい。


「……鮎子とか?」


「あー……鮎子さんはおしとやかな、可愛らしいかんじですよね、七生はもっとカッコイイかんじの女性が好きみたいですよ。」

由加里姉や、水瀬のお姉様を思い浮かべる。


「鮎子、可愛くないよ。おしとやかなら、瞳子ちゃんはどうかな?七生のタイプではない?」

七生の父親なだけあって正直者だ。


「さあ……年上な時点で七生のタイプからは外れてませんよ。」

七生が好きになった人がタイプだと言っていた。
……その割には年上でスレンダーな人ばかり選んでいたが。


「そっか……七生中々やるね……リサは年下だったんだけどね、凄く大人びてたよ。あの人の前では私も子供だった。」

リサさんのことを話す修平さんは瞳が輝いてて、まるで夢でも語るみたいに柔らかく笑った。


「デートしましたか?」

リサさんと修平さんなら、さぞ絵になる恋人同士だったんだろうな。


「そうだね、したよ。七生はよく、どこに行くの?」


「前に、七生は遊園地に行きましたよ。」

一年前のことなのに懐かしい。


「……そうかあ、遊園地………………私の、勝手な頼み事なんだけどね、遊びに行きたいんだ。」

ちょっと恥ずかしそうにお願いする修平さんは、可愛らしい。
どうやら、修平さんは七生を上手く遊びに行きたいらしくて俺に仲介を求めているようだ。
……俺も七生離れする良いきっかけかもしれない。



「七生と、出掛けてないんですか?」


「まだ……」

横に首を振る仕草が、年齢を感じさせない。

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