《MUMEI》 . 俺は天草を無視して、カウンターに置いてあった本を勝手に持ち上げ、パラパラとページをめくった。 勝手に触るな、といったふうに天草は俺のことを見つめていたが、俺は気づかないフリをする。 その本にはどのページにも、古語っぽい感じがする文字が並んでいた。 小難しくて、なにがなんだか分からない。 俺は本をカウンターに戻し、そして気がついた。 カウンターの上に置かれている、レポート用紙。 そこには、端正な文字が並んでいる。 −−−それに、見覚えがあった。 【わがごとく 我をおもはむ 人もがな さてもやうきと 世をこころみむ】 「これって………」 昨日、アイコとナニしてたとき、 床に落ちてた………。 . 前へ |次へ |
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