《MUMEI》 「ぁ──そうそう‥2人にお土産があるの──すっかり忘れてたわ」 「土産? 何すか?」 「──シュークリームなんだけど──」 「おっ、美味そーじゃないっすか♪」 「ふふっ──これ、蜜花ちゃんも好きよね?」 「ぁ‥はいっ──ありがとうございます」 香坂さんは、ここに来る時──必ず何か、お土産と言ってお菓子を買って来てくれる。 私達の事を気に掛けて、優しくしてくれる。 「──ぁ、私そろそろ行かなくちゃ──」 「ぇ──もう行っちゃうんですか?」 「ええ。重版もしなきゃならないもの」 「ぇ、重版‥?」 「本当に人気出て来たのよ、最近の『コウ』は──」 嬉しそうに、香坂さんが言った。 前へ |次へ |
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