《MUMEI》
会議
「では、ゆとり世代のお二方、第一回方針会議を始めたいと思います。」
部屋の真ん中に集まりテーブルを囲んだ。
「…君もゆとりだからね?」
チームゆとり、爆・誕
「こんな甘やかされたオレ達がこの町で生き残るために、取るべき行動を話しあうぞ。」
「町から出るのはダメなの?テレビを見てるとこの町以外は大丈夫そうよ?」
リンが当然の疑問を聞く。確かに、ゾンビタウンになっているのは風山町を含む一部の地域のみのようで、全国放送や県放送は問題なく放送されていた。しかし…
「……それは難しいぞ。」
オレとタカは首を振る。
「僕たちが車でここまで来たのは知ってるよね?その時、丘の上から町が見渡せたんだ。」
そこから見えたものは絶望そのものだった。
「北の北陵トンネルは遠目に見ても明らかに崩落していた。そして、南の南陵トンネルの方は、国道を埋めつくすほどのゾンビで埋まっていた。……つまり、この町から出るルートを全て失ったわけだ。」
この町は周囲を2000m級の山脈に囲まれた盆地にある。この山々は傾斜が厳しく多くの登山者が遭難し、山越えには専門の装備と相当の登山経験が必要とされる。古くは閉鎖的な宗教の本山として機能していたが、国道と鉄道を通すトンネルが開通したことで人々が住み始めた。それが北の北陵トンネルと南の南陵トンネルである。
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