《MUMEI》 ──売店から戻って来たら、那加が膨れっ面をしていた。 「おっそい。もうあたしお腹ペコペコなんだからぁ」 那加は、俺が来るまで食べないで待ってくれていたらしい。 「早く座ってよ」 「ハイッ、姫サマ」 ここで機嫌を損ねると‥後が恐い。 「──何買ったの?」 「オニギリと烏龍茶」 「少なくない‥?」 「ぃゃ、朝結構食べたし──」 「ならいいけど」 そう言って、那加はスプーンを取った。 「さっき佳代子さんがね‥?」 「ぁぁ」 「てるてる坊主──可愛いって言ってた」 前へ |次へ |
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