《MUMEI》

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俺は天草の目を見て、言った。


「こんなとこからコソコソ覗いてないで、話しかければいいのに」


すると彼女は少し悲しそうな目をして、小さく首を振った。


「無理です……今まで、ちゃんと話したことないもの」





…………は?



話したこと、ない??





「だって、同じクラスでしょ?」


俺が尋ねると、彼女は、なんで知ってるんだ、という顔をしたが、そのうち諦めたようにため息をついた。


「緊張、しちゃうから……」


もじもじしながら答えた彼女に、俺はたまげる。





…………キンチョー!?



クラスの男と話すのにキンチョーするなんて、



いつの時代のひとだよ。





まあ、『世界が違う』から、



しかたないのかな。





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