《MUMEI》 . 俺は、ねぇ、と天草に声をかける。 天草はゆっくり顔をあげた。少し恥ずかしそうな表情だった。 その顔を見つめ返し、俺は言った。 「中村に、話しかければ??」 唐突な台詞に、彼女は眉をひそめながら答えた。 「だから、わたし、緊張しちゃって話なんか………」 「『出来ない』なんて最初から決めつけないでさ、やってみろよ」 また彼女の台詞を遮り、言い放つ。彼女は黙り込んだ。俺はつづける。 「挨拶とか、どーでもいい話でいいんだよ。そしたら自然と話せるようになるって」 俺の話に耳を傾けながら、天草はそれでも躊躇い、「でも……」と唸る。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |