《MUMEI》

「何で虹が出るって分かったの?」

「もしかしたら──ってな、ほら──虹って光の屈折だろ? 水しぶきと太陽がありゃ、出来なくもねーかなって」

「───────」

「ほらっ、これ今撮ったヤツ。──結構いーだろ?」

「──うん」

「ま、あの日の虹には敵わねーけどな──」





こーちゃんは笑いながら言って、今度は私にカメラを向けた。





レンズ越しでも、こーちゃんが私を見ているんだと思うと‥ドキッとする。





「──ん、どーした?」





カメラから顔をずらして、こーちゃんが訊いてきた。





でも私は──どう返事をしたらいいのかが分からなくて。





とにかく、こーちゃんから目を逸して‥気持ちを落ち着かせるしかなかった。

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