《MUMEI》
緊張
校門集合は遅れたが、ビジネスホテルには予定通り到着した。


それは


俺だけでなく、無意識に、皆が早足になっていて


目的地に着くまでほとんど無言だったからだった。


(やっぱり皆緊張してるんだな)


俺が代表でフロントで、手続きをしている間も、皆どこか落ち着きが無かった。


「行こうか」


『すぐそこじゃん』


いつもなら、誰かがそうツッコミを入れる、俺の発言に、今日は静かに頷くだけだった。


そして、俺は


コンコン


フロントの隣にある、会議室のドアをノックした。


「入れ」


(忍、素だな)


俺は慣れていたが、他のメンバーがビクッとしたのがわかった。


俺は無言でドアを開けて中に入ったが


「失礼…しま、す」


皆、そう言った後、何か言いたそうに、頭を下げてから俺に続いた。


それは、忍の雰囲気が違うのももちろんだが


一番は


「…何でまだコスプレ?」


最後に入った厳がポツリとこぼしたように


忍が執事服を着ている事が原因だった。


「コスプレじゃない」


忍はうんざりしたような表情で、きっぱりと言った。

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