《MUMEI》

埃が纏わり付くのが気に入らない。
体中汚い。
空の青が消毒してくれるように感じる。




アラタは瞼の底でアヅサを思った。

アヅサは
どうだっただろうか

「愛している」と何人にも囁いた。
夜は「アラタは本物だ」
と眠る時間までずっとアラタと繰り返し唇を触れ合わせた。


その唇でいくつものモノ達に同じことをしたのだろうか。


大塚にもしたのだろうか。




アラタは寝そべった。
風が一瞬背中を押した。
頭を地面に打ち付けた、鈍い音がする。
そのまま死ぬことは出来ない。
煉獄と約束したからだ。

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