《MUMEI》 誓約書「とりあえず鍵をかけてくれ」 「あ、ハい」 厳の返事は見事なほど裏返った。 それが笑いを誘い、一瞬場が和んだが 「では、先にこれにサインしてもらおう」 忍の声と 取り出し、配られた紙を見て、その雰囲気は本当に一瞬で終了した。 それは ここで聞いた話は、決して外にはもらさないという 誓約書 だった。 しかも、そこには 『破った場合、本人、及びその家族、話を聞いた相手に対し、制裁を加える』 と書かれていた。 「こんな事書かなくても守るのに」 志貴はかなり大きな声で言った後、サインしていた。 「同じく」 そう言った柊は、既にサインを終えていた。 柊の隣にいる希先輩は何も言わなかったが、柊の言葉には頷いていた。 (厳と頼は…) チラリと見ると、二人とも俺と目が合った途端、同時にピースをした。 「人の事より、お前はどうなんだ? 祐也」 「今、書く」 俺の手元にも、皆と同じ内容の誓約書があった。 その事に疑問を感じたのは、勘のいい、志穂さんの娘 希先輩だった。 前へ |次へ |
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