《MUMEI》 祐也の知る過去「好きな人が死んでるって、今も忘れられないって、何で言えなかった?」 「その理由であっさり納得してくれる状況では無かった」 落ち込む俺と志貴の話を、頼と忍が続けた。 「だからって…」 「あの。祐也の好きな人ってどんな人だったんですか?」 「それに、私達は田中君の過去の話を今日聞きにきたはずです」 「そ、そうそう」 頼の不満を遮るように、柊・希先輩・厳が口を開いた。 「そもそも、君のせいで話がそれたんだが?」 「す、すみません」 「希は悪くない」 「「また話ずれる」」 … フゥ 全員の、ため息が聞こえた。 「とりあえず、俺のこの服装はコスプレではなく、仕事着で、俺は執事をしている」 何事も無かったように 大した事では無いように 本当にサラリと忍は言い 「主の家は、春日。日本トップ企業春日グループの本家。 そして、祐也と俺が愛し、祐也と恋人同士だったのは、亡くなった先代当主の也祐様だ」 あっさりと俺の過去を暴露してくれた。 …俺以外が目を丸くして 口をポカンと開け、忍の言葉を理解するまで、数分かかった。 前へ |次へ |
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