《MUMEI》 「願い事──‥決めたんだ」 「おっ、何だ?」 興味津津に、こーちゃんが身を乗り出してきた。 私は、ちょっとドキッとしながら‥ゼリーをスプーンで掬う。 「まだ──秘密」 そう言ったら、 「うーん‥ますます気になんなー‥」 こーちゃんは、ちょっと残念そうに笑った。 「じゃ、俺もまだ秘密な?」 今度は無邪気な笑顔を浮かべて、こーちゃんが言った。 「──ぁ、これ凍らせて食うと美味いんだよなー」 「ぇ‥?」 「お前も好きだろっ?」 「うん‥、でももうひと口食べちゃっ‥」 「っし、凍らせっぞー♪」 すっかり張り切ってゼリーを冷凍庫に移動させるこーちゃんに、私は思わず苦笑した。 前へ |次へ |
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