《MUMEI》

──夕方になっても、空はまだ白いまま。





こーちゃんは、キャンバスみたいな空を見上げて‥何だか遠くを見ている。





「───────」

「こーちゃん」

「‥?」

「奇跡って──信じる?」

「奇跡‥?」





キョトンとして、こーちゃんが私を見る。





「奇跡、なぁ‥」

「──私は信じてるよ」

「みかん‥?」

「だって──こーちゃんが起こしてくれたんだもん」

「‥ぇ」





こーちゃんの目が、円くなった。





「──俺が‥?」

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