《MUMEI》 「さーて、そろそろ来るか‥?」 天の河が昇るのを、今か今かと待ちわびている。 今、私の隣りにいるのは──写真家のコウ。 もちろん、こーちゃんなんだけど──いつも、こーちゃんって呼んでいる鈴原 晃と、コウの時の鈴原 晃は──ちょっと違うんだ。 私の感じている中では、鈴原 晃は2つの顔を持っていて──どっちも、私は好きなんだ。 「──みかんっ」 「ぇ」 呼ばれて、横を見た。 そうしたら、こーちゃんが興奮気味に──星空の一点を指差した。 「ほらっ、見ろよあれ♪」 前へ |次へ |
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