《MUMEI》 . 俺は頭に記憶しながら、大介に向き直る。 「……あと、野球部の中村ってわかる?」 ついでに聞いてみた。 すると、大介は「ああ!」と大きく頷く。 「あれだろ?野球部のエースのモテモテくん」 俺が頷くと、大介は一瞬変な顔をした。 「まさか、お前、ソッチの趣味も……?」 ………なんて、バカげたことを言いはじめた。俺は肩を竦めて見せる。 「………俺って、博愛主義だから?」 大介は半眼で俺を睨み、それから「中村かぁ……」と唸る。 「……女の子のことならわかるけど、ヤローはなー」 ぶつぶつと言いながら、急に思い付いたように俺の顔を見た。 「アイコに聞いてみれば?あいつ、中村に付き纏ってたじゃん」 目からウロコだった。 そっか。 アイコなら、中村のこと詳しいかも。 玉砕したくらいだし。 俺は大介に、サンキューと言い、すぐにアイコに会いに行った。 . 前へ |次へ |
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