《MUMEI》

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それを見逃さず、俺はアイコに尋ねる。


「お前、中村にナニしたの?」


疑惑の目を向ける俺に、アイコは慌てて首を振った。


「ナニもしてないっ!!なにもっ!!………ただ………」


「………ただ、なに?」


俺が先を促すと、アイコはしょんぼりとした。肩を落とし、顔を俯かせる。

そして消え入りそうな声で答えた。


「好きだからチューしようよ、って言っただけ………」





……………コイツ、



バカ??





俺は呆れてため息をついた。


「そりゃ、中村じゃなくてもドン引きだろ」


すると、アイコは顔をあげて、「そんなことないもん!」と反論した。


「5組の原田くんも、1組の末永くんもチューしてくれたもん!!」


俺はずっこけた。

アイコが名前をあげた奴らは、俺の学年でも、そこそこモテる男だった。


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